レッドデータブックやまぐち
| トップページ | RDBとは | 刊行にあたって | 野生生物目録 | RDBカテゴリー | 詳細検索 | 地図情報 |
もどる
| ほ乳類 | 鳥類 | 両生類・は虫類 | 淡水産魚類 | 甲殻類 |
| その他動物 | 昆虫類・クモ類 | 陸・淡水産貝類 | 維管束植物 | コケ植物 |
 
山口県の維管束植物相の概要

植物の分布を左右する要因としては、気候(主として気温、降水量)、地形、土地、動物及び人間があり、これらが互いにからみ合って影響を及ぼしている。
山口県は気候的には、瀬戸内海沿岸部、内陸部、日本海沿岸部に分けられ、年平均気温は14〜15℃であり、海岸部で高く内陸部は低い。年降水量は瀬戸内海沿岸部が約1,700mmで、冬季が少ない。内陸部は約2,000mmで冬季に多い。日本海沿岸部は約1,800mmで、9月ごろに割合多い特徴がある。
地形的には海岸域から200mくらいまでの丘陵地と、200mくらいから700mまでの低山地が多く占めており、県境の西中国山地が800mくらいから1,000m少しの標高しかない。最高地の寂地山が1,337mである。 植生の面からみると、自然植生では、年間降水量の少ない瀬戸内海沿岸部の一画には、乾燥に適応したと思われるウバメガシ群落、日本海や瀬戸内海沿岸部のやや土壌の深い場所には、スダジイ、タブノキ群落が優占する。内陸部の多くがアカマツ・コナラ林であったが現今はコジイ・カシ群落に置き換えられてきている。標高の高い地域にミズナラ・ブナ群落がわずかに見られる程度である。
 
 次ぎに植物相(フローラ)の立場から県内の分布の状況を概観してみると、
○地理的分布
亜熱帯・暖温帯要素―
 分布の中心が中国南部、台湾、琉球列島、九州などで、本県が北限〜北限地域になっている種で、日本では太平洋岸と日本海側を北上する流れがある。本県で限止するものがかなり見られる。例えば、マツバラン、ヒモヅル、ツルホラゴケ、エダウチホングウシダ、タマシダ、シマシロヤマシダ、ヤクシマワラビ、ハチジョウカグマ、タカノハウラボシ、クワノハエノキ、ツルコウゾ、アコウ、カカツガユ、ミヤコジマツヅラフジ、ミヤマトベラ、シバネム、タチバナ、ハマセンダン、ヒゼンマユミ、フシノハアワブキ、ハマボウ、ツルコウジ、ツルマンリョウ、ホザキザクラ、シマモクセイ、ルリミノキ、ハクサンボク、オオカラスウリ、ウスベニニガナ、ハマオモトなど多くの種がある。
冷温帯要素―
 分布の中心が日本列島の北中部の冷温帯地域にあり、本県及び周辺地域が西南限地域になる種。例えば、キヨスミコケシノブ、オシダ、ホソイノデ、バッコヤナギ、サワシバ、フクジュソウ、オオヤマレンゲ、ナガミノツルケマン、オオヤマザクラ、メグスリノキ、サラサドウダン、ミヤマウメモドキ、ミツガシワ、タチカメバソウ、エゾニガクサなどがある。
日本海要素―
 起源は冷温帯地域と思われるが、日本列島の特に日本海側に濃厚に分布するもので、積雪と関連した起源をもつ種と思われるもの。例えば、ミヤマイラクサ、スミレサイシン、エゾオオバコ(海浜)、ムラサキマユミ、ヒョウタンボク、チャボガヤ、ハイイヌガヤ、アシュウスギ、ハマムギ、ハマニンニク、ニシノホンモンジスゲなどがある。
表日本要素―
 主として日本列島の温暖帯地域の太平洋側に濃厚に分布する種で、地史と気候にかかわる種を含み、四国との関連が濃厚と考えられる種がいくつかある。例えば、テバコワラビ、タカネハンショウヅル、シロモジ、ギンバイソウ、ハスノハイチゴ、シコクスミレ、ヒロハドウダンツツジ、ハナタツナミソウ、テバコモミジガサ、コウヤマキ、アオテンナンショウ、オモゴウテンナンショウなどがある。
本州西部、四国、九州地域に限産する種―
 例えば、イヌケホシダ、ヒメウラシマソウ、サンヨウアオイ、タイリンアオイ、ウラゲウコギ、アラゲナツハゼ、ニシノヤマタイミンガサ、ノジギク、ツクシガシワなどがある。
大陸系要素― 
 中国東北部、朝鮮半島に関連する種と思われるもの-環日本海要素を含む。例えば、ノヤナギ、イワシデ、コバノチョウセンエノキ、ケグワ、タンナトリカブト、コウライタチバナ、マンシュウボダイジュ、モクゲンジ、ゲンカイツツジ、ホソバママコナ、クルマバアカネ、ダルマギク、ヒゴタイ、エヒメアヤメなどがある。
 他に中国大陸中南部に関連している植物群と思われる種がある。例えば、キビヒトリシズカ、サクラバハンノキ、カツラ、ゴショイチゴ、トウササクサ、アカネスゲなどがある。

○基岩土壌・地形的分布
石灰岩地―
 県内には秋吉台ほか数ケ所の石灰岩地があるが、目だった種は多くない。例えば、キドイノモトソウ、ケキンモウワラビ、オニイノデ、タチデンダ、イチョウシダ、イワツクバネウツギ、アキヨシアザミ程度である。
安山岩地―
 瀬戸内海側の海岸域や島嶼の花崗岩・安山岩の風化した場所にやや特徴ある種が見られる。例えば、ヒメウラジロ、コガネシダ、イワギリソウ、セトウチギボウシがある。
塩湿地―
 古くは瀬戸内側の河口付近に発達していたが、現在では埋め立てが進行して、ごくわずかしか残されていない。日本海側ではもともと少なかったものと思われる。この環境では、ハマサジ、ホソバノハマアカザ、ヒロハマツナ、ウラギク、フクド、シバナが見られる。

県版「絶滅危惧植物」選定に当たって留意した点
 現在県内で記録された種は凡そ2,500種(野生種のほか、帰化種を含む)ある。この中から下記の選定基準と段階基準によって「絶滅危惧種」を選定した。
1 本県特産種(全国レベルで本県特産種である。)
2 全国局限(全国レベルで生育地が局限されている、または個体数が少数である。)
3 県内局限(全国レベルでは危機状況ではないが、県内では生育地が非常に局限されている、または個体数が少数である。)
4 分布の限界(県内に全国レベルでの北限生育地、南限=西南限生育地がある。)
5 園芸等採取で発見されると採取圧がきわめて高いもの。

 段階基準については主観が入りやすく難しいが各委員の話し合いで、凡そ下記によって4階に分けてランクをつけた。


絶滅危惧I類
○絶滅の危機に瀕している種。
個体数が極めて少ない。(産地が数カ所あっても、個体数が極めて少ない)
残存株数およそ50株以下と思われるもの。
  (IA-CR 30株以下または、ここ10年以降の凡その減少率が80%以上と思われるもの)
(IB-EN 50株前後または、ここ10年以降の凡その減少率が50-80%程度と思われるもの)
 その他、絶滅といいきるのは難しいため、現在県内では消滅したと思われる可能性の高い種もここに含め注釈を加えた。
絶滅危惧II類-VU
○絶滅の危機が増大している種。
個体は散在するが、近年の開発工事、自然遷移などで減少が著しい状況にあると思われるもの。
残存株数およそ50〜500株程度と思われるもの。(または、ここ10年以降の減少率が30〜50%程度と思われるもの)
準絶滅危惧-NT
○存続基盤が脆弱な種。
本県では、現在のところ個体数はやや多く見られるが、全国的に見ると減少傾向があり、今後注意する必要があるもの。
残存株数が500株以上と思われるもの。または、ここ10年以降の減少率が20〜30%程度と思われるもの。
株数は残存するが園芸採取で特に減少が高くなると思われるものと、環境庁の指定種を若干考慮した)

 以上の経過によって、
分類群/ランク 絶滅危惧
IA類
絶滅危惧
IB類
絶滅危惧
II類
準絶滅
危惧種
シダ植物 45種 11種 11種 13種 80種



裸子植物 1種 1種
双子葉類 離弁花類 76種 17種 65種 26種 184種
合弁花類 66種 9種 71種 28種 174種
単子葉類 86種 10種 76種 15種 187種
総 計 273種 47種 224種 82種 626種
      320種      
 の計626種を選定した。

( 凡 例 )

1 分類・学名及び命名者は主として、

環境庁自然保護局「植物目録」修正版(1994)、「植物の世界」(週間朝日百科)総索引(1997)及び「AUTHORS of PLANT NAMES」KEW (1992)にほぼ従った。

2 文献
(1) 図鑑・全般にかかわるもの
各種の参考文献欄に以下の略号で示した。(略号後の数字は参照頁)

略 号 文   献   名
牧野「新日本」   牧野富太郎(1989)「改訂増補牧野新日本植物図鑑」北隆館.
北村「草本」 北村四郎・村田 源・堀 勝(1974改訂版) 「原色日本植物図鑑」(草本)I 保育社.
  II 北村四郎・村田 源(1974)「原色日本植物図鑑」(草本)II 保育社.
  III 北村四郎・村田 源・小山鐵夫(1974)「原色日本植物図鑑」(草本)III 保育社.
北村「木本」 北村四郎・村田 源(1971)「原色日本植物図鑑」(木本)I 保育社.
  II 北村四郎・村田 源(1979)「原色日本植物図鑑」(木本)II 保育社.
佐竹「草本」 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・富成忠夫(1982)
「原色日本の野生植物」(草本)I 平凡社.
  II 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・富成忠夫(1982)
「原色日本の野生植物」(草本)II 平凡社.
  III 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・富成忠夫(1981)
「原色日本の野生植物」(草本)III 平凡社.
佐竹「木本」 佐竹義輔・原 寛・亘理俊次・富成忠夫(1989)「原色日本の野生植物」(木本)I 平凡社.
  II 佐竹義輔・原 寛・亘理俊次・富成忠夫(1989)「原色日本の野生植物」(木本)II 平凡社.
岩槻「シダ」   岩槻邦男(1992)「原色日本の野生植物」(シダ) 平凡社.
中池「新シダ」   中池敏之(1992)「新日本植物誌」シダ篇 増補改訂版 至文堂.
角野「水草」   角野康郎(1994)「日本水草図鑑」 文一総合出版.
長田「イネ科」   長田武正(1989)「日本イネ科植物図譜」 平凡社.
大井「植物誌」   大井次三郎・北川政夫(1992)「新日本植物誌」改訂版 至文堂.
鈴木「タケ目」   鈴木貞雄(1978)「日本タケ科植物目録」 学研.
鈴木「タケ図」   鈴木貞雄(1996)「日本タケ科植物図鑑」 聚海書林.

(2) 山口県にかかわるもの
略 号              文  献  名
岡「山口植物」 →  岡 国夫ほか(1972)「山口県植物誌」 山口県植物誌刊行会
(3) 雑誌類
後記参考文献一覧に示した。
なお、シダ植物・種子植物については、種の保護上の配慮から各種の参考文献の項からは外した。

3 執筆分担
シダ植物 ・・・・・・・・・・・・・ 真崎 博 (山口県植物研究会)
被子植物
ヤナギ科-マメ科・キク科 ・・・・南 敦 (山口植物学会)
アマ科-セリ科 ・・・・・・・・・三宅貞敏 (元山口県立山口博物館学芸課長)
イチヤクソウ科-キキョウ科 ・・・中村 久 (秋吉台科学博物館)
ヒルムシロ科-カヤツリグサ科 ・・鈴木和雄 (山口県立大学生活科学部教授)
サトイモ科-ラン科 ・・・・・・・勝本 謙 (元鳥取大学大学院)
標本資料記録・・・・・・・・・・・・嶋村拓実 (山口県立山口博物館)


もどる
| ほ乳類 | 鳥類 | 両生類・は虫類 | 淡水産魚類 | 甲殻類 |
| その他動物 | 昆虫類・クモ類 | 陸・淡水産貝類 | 維管束植物 | コケ植物 |

トップページ




本サイトの著作権は、山口県が所有します。
サイト上に掲載の画像・文章等の無断転載を禁じます。