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科名 カジカ科
和名 カジカ 中卵型
学名 Cottus sp. ME
山口県カテゴリー 絶滅危惧種IA類
環境省カテゴリー
   
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田万川町
(撮影:酒井 治己)

選択理由  体長10cm以上に達します。カマキリに似ていますが、カマキリには口蓋骨(口の天井)に歯があり、カジカには有りません。カジカ中卵型は河川の下流域に生息し、仔稚魚はいったん海へ降りますが、近縁のカジカ大卵型(絶滅危惧IB類)は大型の卵を産み稚魚は海へ行きません。日本固有種で、本州、四国、九州に分布します。山口県では、カジカ中卵型は日本海側のいくつかの河川下流域に生息します。大卵型は大きめな河川の上流域にいます。河川改修による生息場所の減少などの原因によって減少しています。

選択理由  多くの生息地で生育環境が悪化し、個体数が減少している。

形態 全長7〜9cm。時に12cmに達する。体表に鱗はない。体色は淡褐色から暗褐色まで変異に富み、体側には4〜5個の黒褐色の横帯がある。頭部形態では、口角部は眼窩の前縁直下に終わる。また、前鰓蓋骨の後縁に小棘が1本ある。鰭の棘及び軟条については、第1背鰭8〜9棘、第2背鰭1棘16〜19軟条、胸鰭の軟条は分枝せず、腹鰭は1棘2〜4軟条で、淡色で斑紋がない。肛門は臀鰭起部直前にある。両側回遊性の小卵型および中卵型と河川陸封性の大卵型の3種が存在する。この3型は形態的に酷似するが、胸鰭の軟条数が小卵型は12〜14、大卵型は11〜12、中卵型がほぼこの中間と少し異なることで区別できる。

分布  日本固有種で、小卵型及び中卵型が中・下流域に、大卵型は上流域に生息する。小卵型および中卵型は積丹半島以南の北海道、本州(秋田、新潟、石川、福井を除く)、四国、九州(宮崎・鹿児島を除く)に分布し、小卵型は主に太平洋側、中卵型は主に日本海川に分布するとされるが、両種の分布域の違いはまだ明らかではない。大卵型は本州(和歌山を除く)、四国、九州(熊本・宮崎、鹿児島を除く)に分布する。山口県には、大卵型と中卵型が分布する。

生息・生育状況 小卵型および中卵型は一般に川の中・下流域を中心に生息するのに対して、大卵型はそれより上流域に分布し、山地の渓流域にまで生息する。いずれの種も瀬の砂礫底や礫底の場所に生息している。産卵期は1月中旬から6月中旬で、3種とも、瀬の石の下にオスがなわばりを持ち、メスを誘って石の下面に卵を産着させ、孵化まで卵を保護する。産着卵の直径は、小卵型で1.8〜3.1mm、大卵型で2.5〜3.7mmで中卵型はほぼその中間である。孵化した小卵型および中卵型の仔魚は小さな卵黄嚢を持ち、浮上して川を流れ下り海に入る。そこでしばらく浮遊生活をした後、底生的稚魚となって川に遡上する。一方大卵型の仔魚は、形態形成が進んだ状態で孵化し、大きな卵黄嚢を持ち、海へ下ることなく、産卵床の周りの砂礫底で底生的生活を送る。卵黄吸収後、移動・分散する。大卵型ではメスの多くは2年で、オスの多くは3年で成熟する。同一年齢で比べると、オスはメスより幾分大型である。 山口県では、椹野川では比較的多くの大卵型の個体を確認できるが、その他の河川では個体数が減少している。特に中卵型の減少が著しい。

近似種 他のカジカ科魚類とよく似るが、カマキリには口蓋骨に歯があり、カジカにはないこと、カンキョウカジカは体側全体に緑褐色の小さな斑点が多数散在し、胸鰭にも数個の暗色斑があること、ハナカジカは前鰓蓋骨の後縁の棘が3本であることで区別できる。

学術的価値 岡崎・小林(1992)は集団遺伝学的研究を行い、小卵型とウツセミカジカに差異のないことを確認し、小卵型をウツセミカジカ(Cottus reinii)、大卵型をカジカ(Cottus pollux)とすることを提案した。さらに岡崎他(1994)は両側回遊型の中卵型の存在を確認し、藤井他(1997)は形態学的にそれぞれが識別可能であるとした。それぞれはすでに別種のレベルまで分化していることはほぼ間違いない。  カジカ科魚類のほとんどは海産であり、日本に生息する淡水産カジカ類は2属にすぎない。淡水産カジカ類は海産カジカ類が淡水域へ進入する過程で派生した特化群と考えられている。本種はカジカ科魚類が淡水域へ分布を広げる際の進化の過程を研究する上で非常に興味深い。

減少原因 河川改修による生息場所の減少など。

参考文献  藤井ほか 1997, 藤岡 1991, 後藤 1996, 後藤ほか 1994, 環境庁 1991, 川那部・水野 1989, 宮地ほか 1976,水野・後藤 1987, 岡崎 1997, 岡崎・小林 1992, 岡崎ほか 1994, 桜井 1986, 清水ほか 1994, 利重 1973, 渡部 1958, 山本・沢本 1998
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